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上皇・上皇后両陛下のご成婚60年を記念して、平成31年に出版された書籍『天皇・皇后両陛下ご成婚60年記念 宮中 季節のお料理』は、宮内庁の監修により、『皇室』編集部が編集を担当、宮中に伝わる四季折々のお料理や各種宮中行事に供されるお料理を初公開した画期的な一冊です。本書に掲載された、宮内庁大膳課(だいぜんか)による、王朝時代を彷彿させる古式ゆかしい儀式料理や、季節感あふれる美しい節句料理など、貴重な写真のなかからダイジェストで紹介していきます。
書籍については→https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594081775
1月1日 ご朝餐前 御所にて
新年|御口祝(おくちいわい)

御所では元日のご朝餐に先立ち、「御口祝」と呼ばれる新年のお祝いをなさいます。
角盆に、のし鮑(あわび)と昆布、勝栗(かちぐり)が盛られ、そこから女官長が柳箸で昆布の上にのし鮑と勝栗をのせ、それをお箸で天皇陛下にお出しします。天皇陛下はこれを片手でお受けになり、新年の御祝をおっしゃった後、控えの女官にお下げになります。次いで、皇后陛下も同じようになさいます。
1月1日・2日・3日 ご朝餐 御所にて
新年|御祝先付(おいわいさきづけ)

お正月の三が日、両陛下に出されるご朝餐は、宮中の伝統的なお正月のお料理「御祝先付」です。献立は三が日とも同じで、菱葩(ひしはなびら/写真本膳の下)を中心とした本膳に、雉子酒(きじしゅ/写真二の膳の右下)や吸物を配した二の膳と、お福茶がつきます。
最初に菱葩と雉子酒が出されますが、これは儀式的なもので、両陛下は召し上がるご所作をなさいます。この作法を「おまね」といいます。その後、実際のお食事として再び菱葩と雉子酒が出され、お食事の後にお福茶を召し上がります。
なお、雉子酒は塩漬けにした雉子の肉を入れた温酒(おんしゅ)で、皇室専用の御料牧場(栃木県塩谷郡高根沢町)で育てられた雉子が用いられます。


1月1日 宮殿・表御座所(おもてござしょ)「花の間」にて
晴御膳(はれのごぜん)

天皇陛下が元日に宮殿で最初に臨まれる行事が「晴御膳」です。「御毯代(ごたんだい)」と呼ばれる錦織の敷物の上に朱塗りの「御台盤(おだいばん)」をしつらえ、その上に伝統料理の品々が並べられます。これらのおめでたいお料理は、新年にあたり神様に捧げるためのもので、天皇陛下が実際に召し上がることはありません。
魚介や鳥肉などの食材を薄切りにして菊の花のような形に堆(うずたか)く盛りつけたり、白飯を円柱状に持ったりする「晴御膳」の形式は、王朝時代の貴族の接待でふるまわれた大饗(だいきょう/おおあえ)料理を受け継ぐものです。

1月1日・2日・3日 ご夕餐 御所にて
新年|御祝御膳(おいわいごぜん)


お正月の三が日、御所で両陛下に出されるご夕餐が「御祝御膳」です。
日本の伝統的なお祝いの御膳で、一汁三菜の本膳に二の膳がつく形式のもの。本膳は向かって左、二の膳は向かって右に、一緒に出されます。献立は日によって異なります。