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令和5年5月4～7日、秋篠宮皇嗣・同妃両殿下がイギリスのチャールズ3世国王陛下の戴冠式に参列された。
皇室にとってイギリス王室はもっとも古くから交流されてきた外国王室のひとつである。
天皇陛下をはじめイギリスの大学へ留学された方々も多い。
明治以来、皇室とイギリス王室が150年にわたって築いてきた歩みを振り返る。
第1回の今回は昭和時代までの歴史を紹介する。
（99号より）
明治2年にイギリスの王子が初来日
日本とイギリスの外交関係が樹立されたのは安政5年（1858）、日英修好通商条約が締結されたときである。
皇室とイギリス王室との交際もほどなく始まり、明治2年（1869）にはビクトリア女王の次男、エディンバラ公アルフレッド王子が世界一周の旅の途中で日本に立ち寄った。欧州諸国の王族が日本を訪問したのはこの時が初めてとされている。
皇室からは1882年（明治15）に有栖川宮熾仁（たるひと）親王のご訪英を皮切りに、小松宮彰仁（あきひと）親王や東伏見宮依仁（よりひと）親王がご訪問。明治39年（1906）にはビクトリア女王第3皇子のコンノート公がエドワード7世の名代として訪日し、明治天皇にガーター勲章を贈られた。
ガーター勲章はエドワード3世が1348年（室町時代初期）に騎士道精神実践のために創設したもので、叙勲されることはガーター騎士団の一員になることを意味する。明治天皇の叙勲は東アジアの元首としては初めてのことであった。ちなみに明治天皇以降、歴代天皇は5代続けて叙勲されており、ヨーロッパ以外の外国君主で叙されているのは今にいたるまで天皇のみである。
昭和天皇とジョージ5世
昭和天皇は1921年（大正10）、皇太子として初めて半年間にわたるヨーロッパ外遊の途次でイギリスを訪問された。
3月3日に横浜港を出発し、各地に寄りながら5月7日にイギリス本島南部のワイト島にご到着。同日午後にビクトリア駅に降り立った時には後のジョージ5世（エリザベス女王の祖父）をはじめ王族関係者が出迎え、バッキンガム宮殿で歓迎会が開かれるなど手厚いもてなしを受けられた。
このイギリスでの日々は昭和天皇のその後の歩みにとって重要な道標となり、昭和54年（1979）に行われた記者会見では、「ジョージ5世から立憲政治の在り方について聞いたことが終生の考え方の根本にある」と振り返られている。
大正11年（1922）には昭和天皇ご訪英の返礼として当時皇太子だったエドワード8世（エリザベス女王の伯父）がご訪日。その後も昭和天皇のご即位、ジョージ6世のご即位、三笠宮の結婚などに際し、皇室とイギリス王室の間では相互訪問や祝電のやりとりがなされた、しかし昭和16年（1941）、両国は敵国として第2次世界大戦を戦うことになってしまった。
上皇陛下がエリザベス女王戴冠式へ
戦後、両国の交流が再開したのは、1953年（昭和28）に上皇陛下がエリザベス女王の戴冠式に昭和天皇の名代として臨席されたときのことである。
イギリスでは反日感情が強かったが、王室は、戴冠式で最前列に席を用意するなど、上皇陛下を高位の賓客としてもてなした。
戴冠式ご臨席、エリザベス女王やチャーチル首相とのご交流を通してイギリス国民に届けられた上皇陛下の若々しく礼儀正しいおふるまいは、かつて日本と戦った人々の感情をも和らげた。上皇陛下は昭和天皇の名代としての重責を果たしばかりでなく、戦後の日英両国の友好関係の礎を築かれたのである。
昭和46年（1971）には昭和天皇が香淳皇后とご一緒にご訪英。エリザベス女王はビクトリア駅まで出迎え、バッキンガム宮殿まで一緒に馬車に乗ってパレードするなど接遇された。しかし昭和天皇に対する反感は根強く、エリザベス女王は歓迎晩餐会で第二次世界大戦中の両国関係に言及されたうえで、今後の友好関係を望む趣旨の挨拶をされた。
昭和50年、エリザベス女王ご訪日の真意とは？
昭和50年（1975）にはエリザベス女王が夫君のフィリップ王配とご一緒に訪日された。日本中が歓迎ムードに包まれ、女王は歓迎行事、NHK見学、京都・伊勢志摩へのご訪問など多くの行事に臨まれた。
このご訪問時に女王一行を接伴した外務省官僚によれば、女王はもっとも印象の深かったこととして「昭和天皇にお目にかかったこと」を挙げ、「（昭和天皇は）戦争と平和を国民とともに歩まれた方ですので、この陛下のお言葉から、私は自分自身にも分からない将来のことについて教えられることが多いでしょうし、自分が教えを受けられるのはこの方しかいないと信じて、地球を半周して来たのです」と話されたという。
昭和61年（1986）にはチャールズ3世国王陛下がダイアナ妃とご一緒にご訪日。ダイアナ・フィーバーが沸き起こった。
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