皇室WEB

今まで恒例の祭祀それぞれの内容について説明してきましたが、ここで、皇室祭祀の概要について説明しておきましょう。
皇室祭祀が行われているところが、皇居内に鎮座する宮中三殿と神嘉殿、そして、皇居の外にある歴代天皇などの山陵です。これは前にも触れたとおりです。
皇室祭祀は、今まで説明してきた恒例祭祀と臨時祭祀に大きく分けられます。その祭祀は大祭と小祭に分けられていて、大祭は、天皇ご親祭(しんさい)、つまり、天皇陛下が自ら祭典を斎行し、「御告文(おつげぶみ)」を奏上されるもので、成年以上の皇族方が参列されます。小祭では掌典長(しょうてんちょう)」が祭典を斎行し、天皇陛下が拝礼されます。掌典とは皇室祭祀に奉仕する人たちのことで、現在は、掌典長、掌典次長がそれぞれ1名、掌典が5名、また、未婚の女性の内掌典(ないしょうてん)5名が主に奉仕しています。
臨時祭祀としては「式年祭(しきねんさい)」があります。これは、歴代天皇の崩御日より3年、5年、10年、20年、30年、40年、50年、100年、以後、百年ごとに皇霊殿と陵所で行われるものです。また、外国ご訪問、ご帰国の際の参拝があります。ご結婚やご誕生、成年式などの時のご参拝やご奉告などもあります。
皇室祭祀には明治になって加えられた祭祀もありますが、各祭祀は古の伝統を有しています。毎月1日、11日、21日に行われる「旬祭(しゅんさい)」、さらに、毎朝、侍従(じじゅう)によって行われる「毎朝御代拝」などもあります。
陛下はそれぞれの祭祀についてよくご存じで、実際の祭祀は厳粛そのものといいます。それではここで、恒例祭祀のうち最も重要な新嘗祭の模様を紹介します。先にも触れたように、新嘗祭は、皇居内の宮中三殿に隣接する神嘉殿で、天皇陛下が新穀を天照大御神はじめ神々にお供えになって神恩を感謝され、自らも召し上がる祭典です。
新嘗祭は11月23日の午後6時から「夕(よい)の儀」が行われ、午後11時からの「暁の儀」は、なんと翌午前1時過ぎに及びます。お供えになる米と粟は全国の農家から献穀されたものと、陛下自ら宮中で栽培された新穀です。その次第については、次回で、詳しく紹介します。
第5回(前回)はこちら https://nihonbunka.or.jp/column/koushitsu/detail/100737
第4回 https://nihonbunka.or.jp/column/koushitsu/detail/100736
第3回 https://nihonbunka.or.jp/column/koushitsu/detail/100715
第2回 https://nihonbunka.or.jp/column/koushitsu/detail/100714
第1回 https://nihonbunka.or.jp/column/koushitsu/detail/100713