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天皇陛下は忙しい?②

皇室Q&A 第2回
令和7年9月19日

「皇室Q&A」の連載第1回目では、天皇陛下の「ご執務」に関して説明しました。次に、天皇陛下のルーティンのご公務としてあげられるのは「認証官任命式」と「信任状捧呈式」です。
 内閣改造があった際、総理大臣立ち合いのもと、任命された国務大臣に陛下がお会いになっているシーンをニュースで見た記憶がある方も多いでしょう。あれが「認証官任命式」です。モーニングなどの礼装を着けた総理大臣はじめ国務大臣は、この任命式が終わった後に、新内閣の記念撮影に臨むのです。
 認証官とは、その任免にあたって天皇による認証が必要とされる官吏の通称で、先の国務大臣や高等裁判所長官などがそれにあたります。本来、陛下は、任免の辞令を認証(署名・押印)されるだけでいいのですが、わざわざモーニングを着用され、宮殿にお出ましになります。書類に親署された後、正殿「松の間」へ進まれ、中央奥に立たれます。一方、任官者は陛下の前まで進み、一礼の上、総理大臣または国務大臣から辞令を受け取ります。そして、陛下の前に戻って一礼すると、陛下から「重任、ご苦労に思います」とのおことばをいただきます。広く静謐な正殿には、任官者が陛下の前に進むときの靴音だけが響き、その様子は厳粛そのものといいます。
 その数はというと、平成29年には、内閣総理大臣の親任式が1回、国務大臣33名はじめ大使40名など計138名の認証官任命式がありました。直近の令和7年3月~5月には、最高裁判所判事等3名と、国務大臣3名の認証官任命式が行われています。
 ですから、急な内閣改造などが行われると陛下は大変です。急遽、式に臨まれ、さらには一度に多くの認証官が任命されることになるので、長時間お務めになるのです。
 一方、「信任状捧呈式」とは、新任の外国の特命全権大使が正式に活動を開始するにあたり、自国の元首から天皇陛下に宛てた信任状を捧呈するものです。場所は同じく正殿「松の間」です。やはり陛下はモーニング姿で式に臨まれます。直近の令和7年3月~5月には、トルコ、カザフスタン、レソト、スペイン、コスタリカ、南スーダンの6名の信任状捧呈式に臨まれました。
 この式に際し、大使一行の皇居への送迎には、皇室用の車か馬車が提供されますが、ほとんどが儀装馬車を選択するようです。運が良ければ、東京駅と皇居の間を送迎する馬車列を見ることができるかもしれません。
 天皇陛下のルーティンのご公務は他にもあります。それは、次回にご紹介します。
第1回(前回)はこちら https://nihonbunka.or.jp/column/koushitsu/detail/100713
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