読みもの

連載 方言「知らんけどね」

第5回「おかしこまり」伊予弁
令和7年9月11日


今回もかわいい伊予弁を紹介します。

第5回「おかしこまり」伊予弁
 今回の伊予弁は「おかしこまり」です。これは前回の「まけまけいっぱい」とは違って、想像しやすい言葉ではないでしょうか?
 私は小さい頃、家に来客があったり、どこかの家にお邪魔して「和室」に座ったりする時、必ず「おかしこまりして」と言われて育ちました。お仏壇の前でお線香をあげるときも「おかしこまり」です。そういえば「お母さん座り」とも言われましたねー。
 そうです、これは「正座」の意味です。きっと「かしこまる」から来た言葉なんでしょうね。
 気になって調べたところ、愛媛県では「おかっこ」「おちょっぽ」とも言うようです。山口県には「かしこまる」、徳島県・香川県・高知県には「おかっこ」に加えて「おかっこまり」という言い方があるようで、地理的に近い地方はやはり響きが似ています。
全国各地ではいろいろな表現があるようです。同じ県でも地域や家庭によって違いはあるでしょうけれど、一部を挙げてみると(https://japanese-dialects.com/hogen-seiza/
北海道「おっちゃんこ」
青森県「ひざをおる」
群馬県「おつくべ」
福井県「おちょきん」
岡山県「べべちゃんこ」
広島県「おじんじょ」
大分県「てんてんすわり」
宮崎県「きんきん」
沖縄県「ひざまずき」
 地理的に遠い青森県と沖縄県の言い方が似ているというのは面白いですね。福井県の「おちょきん」、宮崎県の「きんきん」というのは、どうやって生まれた言葉なんでしょうか? しかしどの言葉の響きも可愛らしく、「正座」では伝わらない生活感があります。
(文/おかだなおこ)

前回はこちら https://www.nihonbunka.or.jp/column/yomimono/detail/100716
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