読みもの

第10回「ぱーぱかぱー」名古屋弁
買い物で留守にしていた家に戻り、「やだ、窓がぱーぱかぱーだった!」と慌てる母を、子供のころから何度見てきたことか。
高らかなファンファーレのような突き抜けた響きの「ぱーぱかぱー」とは、名古屋弁の擬態語のひとつで、開けっぱなしの状態のこと。どのくらい開いているかというと、全開あるいは、ほぼ全開状態。ファンファーレ的響きに、その開きっぷりの派手さが託されているのだ(私見)。
よりマイルドな表現としては「ぱーぱー」がある。こちらは7分開き以上といったところだろうか。用法としては、「空気入れ替えたいから、窓ぱーぱーにしといて」など。
ちなみに、うちの母は「窓がぱっぱらぱーだよ!」と言うときがあるが、これは関西弁で「阿呆」の意味で使う「ぱっぱらぱー」と混同してるっぽいので、マネしないほうがいい。
他に名古屋弁の擬態語としては「しゃびしゃび」もメジャーどころ。「水っぽい」「ゆるい」「薄い」の意味で、「この味噌汁、しゃびしゃびでマッズいわ~」などと使う。こちらは強調形になると「しゃびんしゃびん」や「しゃっびしゃび」になる。
尖った状態を指す「トキトキ」もある。用法としては「鉛筆をトキトキに削る」などで、尖ったものを「トキッとした〇〇」と言ったりもする。その強調形は、さっきと同じ法則で「トッキントッキン」や「トッキトキ」に変化する。
(文/中尾千穂)
※ここでは名古屋弁としていますが、東海地方はじめ他地域でも同じ方言が使用されている可能性があります。
前回はこちら https://www.nihonbunka.or.jp/column/yomimono/detail/100722