読みもの

赤星たみこの八街やちまたオバンギャルド・ライフ

畳の意外な効能―その1「畳は漫画を描くのに役に立つ!」
令和8年1月13日
 この連載では、千葉・八街に暮らす漫画家、赤星たみこさんが独断と偏見で日本文化を考察します! 漫画家ならではのユニークな視点に「目からうろこ」です。

 みなさん、こんにちは!漫画家の赤星たみこです。昭和生まれの高齢者で、おばさん、おばあさんの部類に入ります。そのおばさんがアバンギャルドに生きることを「オバンギャルド」と、こじつけています。
おばさんならではの長く生きてきた視点、漫画家ならではのちょっとヘンな視点、私ならではの偏見をいろいろ書いてみたいと思います。
「今が一番若い」をモットーに、オバンギャルドに生きてみませんか?

畳の意外な効能―その1「畳は漫画を描くのに役に立つ!」

 みなさん、ご自分の家や部屋の間取り図って描けますか? なんとなくでいいのですが、きっと描ける方が多いと思います。友人と引っ越しの話やインテリアの話をしていても紙にチャチャっと間取り図を描く人、多いんですよ。
 漫画家としての私の経験から独断で言わせていただければ、建築家みたいな特別な教育を受けていないのに間取り図を描けるのって日本人特有の能力だと思います! 実際、私は海外の友人と間取り図を描いたときすごく驚かれたし、海外によく行く建築家の友人からも「日本人は間取り図描くのが上手だ」と言うのを聞いたからです。
 その秘密は「畳」にあります!
 日本人は畳というフォーマットに慣れているから間取り図がうまいのだ、と私は思っています。ちょっと面白いでしょ?
 畳というフォーマットを見慣れている日本人は、床の大きさ、壁の高さなどが体感としてわかっているので、部屋の大きさや形を正確に把握できるからだと思います。
畳は関東と関西で大きさが微妙に違いますが、おおむね90cm×180cmの大きさです。畳を二枚横に並べると180cm×180cmの正方形になります。4畳半だと270cm×270cmの正方形。6畳だと360cm×270cmの長方形。8畳だと360cm×360cmの正方形。畳の大きさから天井の高さも推測できます。(図解)



 私が家を建てるとき、これを知っていたおかげで住宅メーカーとの打ち合わせがとてもラクでした。部屋の大きさがすぐわかるし、こちらが考えている間取りを伝えるのもスムーズにいったのです。



畳は漫画を描くのに役に立つ!
 畳フォーマットを知っているだけで、こんなにも役立つのに、最近は畳部屋のないマンションが増えてきました。家を建てる人も和室を作らない選択をする人も多いそうです。すごく残念…。畳の大きさがわかっていると漫画を描くときすごく役立つのに…。
 例えば、女子高生の6畳の部屋にシングルベッドを置くとして、大きさはどれくらいかな、と考えます。シングルベッドは畳一枚くらいの大きさです。勉強机の大きさは、奥行き60㎝で幅が90~100㎝です。今はノートPCやタブレットを置くので120㎝ある机もあります。…ってことを知っていると、女子高生の部屋のレイアウトが正確に描けるわけです。アシスタントさんに指定するときも、「この畳に比べて人物が大きすぎるので、もう少し小さくしてください」とか、畳を基準に指定もできます。

 これって漫画家だけしかメリット無いのでは?と思うでしょうが、でも、漫画家でなくても、一畳の大きさがわかっていれば部屋の大きさが想像しやすいと思います。引っ越しの際、マンションの間取り図に「洋室6畳」とか「フローリング7J」と書いてあっても何となく大きさがわかるでしょう。ちなみに「J」は畳(じょう)のことです。和室のないワンルームマンションなどでよく見かける表記ですが、畳がなくても大きさの基準として「畳」を使うのは面白いですよね。それだけ日本人にはなじみのある大きさなのだと思います。

 最近、海外のアニメで、日本の侍や忍者が出てくるものがあります。当然、建物は日本家屋。お城も出てきます。内容はとても面白いのですが、漫画家としては「その畳!大きすぎる!」「天井高すぎ!という突っ込みを入れたくなります。
 だって、畳が成人男性の身長の3倍くらい大きかったり、天井高がどう見ても10m以上あったりするんです。漫画的誇張として面白いとは思うのですが、畳の大きさから漫画の絵を細かく描いてきた私としては、やっぱり気になるんですよね。
(次回更新:1月27日予定)




●赤星たみこ/1957年、宮崎県生まれ。千葉県八街市在住の漫画家にしてエッセイスト。映画化、ドラマ化された作品多数。猫と着物と生活の知恵を愛する石鹸ユーザー。
アバンギャルド(Avant-garde)とは、既成概念を打ち破り、前衛的で革新的な表現を追及する芸術スタイルのこと。オバンギャルドは、前衛的で既成概念を打ち破りつつ、長く生きてきたオバサンとしての矜持も併せ持つ生き方のこと。ワタクシ赤星の造語です。

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