読みもの
第19回「おせらしい」伊予弁
小さい頃、親戚や父母の知り合いに久しぶりに会うたびに言われました。
「まあ、●●ちゃん、おせらしいねえ」
「ちょっと見ん間に、おせらしなったねえ」
会ったのがおじいさんだったら、「おせらしゅうなったのう」だったでしょうか。
言われると、ちょっと誇らしいような、くすぐったい気持ちになったものです。そう言ってくれる親戚は、別れ際にお小遣いをくれたものでした。
私の地元では、子供に久しぶりに会ったら、子供の親を褒める意味合いもあって、こう言うのがお定まりのパターンだったんでしょう。今でもそこそこの年齢の人たちは言っていると思います。
もうおわかりのように、これは「大人っぽくなった」という意味です。西日本の一部で使われているようです。
漢字では「大兄らしい」と書くようです(今まで知りませんでした)。インターネットで調べると、「ませている」という意味を含む地域もあるようですが、うちの方では単純に「しっかりして、大人っぽくなってきた」という意味で使っていました。
使われる対象年齢としては、幼稚園くらいから小学生高学年くらいまでだと思います。たとえば、家に親戚が久しぶりに遊びに来た時。幼稚園に通っている子供なら、前に会った時はろくに挨拶もできなかったのに、今回はちゃんと「こんにちは」が言えたとか、小学生高学年なら、前はぎごちない挨拶しかできなかったのに、今回はちゃんとお茶をお出しできたとか。そういう程度の「進歩」が見られたら、「おせらしい」のです。
そして、子供が「おせらしなった」「いやいや、まだまだ子供なんよ」というやりとりでひとしきり盛り上がった後、大人同士の会話は必ず、「よその家の子供は知らんうちに大きくなるというのは、ほんまじゃねえ」という言葉で終わるのでした。
(文/おかだなおこ)