読みもの

連載 方言「知らんけどね」

第29回「きょろさい」伊予弁
令和8年7月16日


第29回「きょろさい」伊予弁

 この「きょろさい」、今回の原稿を書くために「どんな方言あったかなあ」とネットで調べている時に見つけて、「ああああ~思い出した!」となったほど懐かしい言葉です。
 あまり聞いたことがない言葉なので、もしかすると愛媛県東予地域だけで使われている、狭い地域限定の方言なのかもしれません。
 私はあまり言われた記憶はありませんが、主に子供に向かって言う言葉です。たいていは男の子ですねえ。次のような場合に使います。

 たとえば夏休みなどで親戚が集まる賑やかな席で、久しぶりにいとこたちと会って、お店の中や庭を駆けずり回って喜ぶ男の子がいると……。
 親「嬉しいのはわかるけど、調子に乗ってきょろさいなことやらんようにね」
 親戚の人「よっぽど嬉しいんじゃねえ」
 親「あのこはきょろさいなけん、怪我したり、もの壊したりせんかと思て心配やわ」

 そうです。きょろさいというのは、「落ち着きがない」「調子に乗って騒ぐ」「おっちょこちょい」という意味なんです。どうも「きょろきょろする」から来た言葉のようで、じっとしていられずソワソワしていたり、興奮して騒いでいる子供などに対して使われます。すごくイメージのわく言葉ですよね。
 ちなみにきょろさいな子どもが興奮して、騒ぎまくる様子を指す言葉もあります。
「ひろき回る」です。「ひろく」が「騒ぐ」という意味で、本来は静かにしているべき席で騒いでいる時などに「ちょっと! そんなにところでひろき回ったらいかんよ! ひろかんと、ちゃんと座っとき!」というように注意するのです。
 書いているうちに、子供の頃、そうやって叱られている男子をたくさん見たなあと思い出しました。あの男の子たちも今頃はもうそろそろ定年でしょうねえ。
文/おかだなおこ
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