講師:國學院大學教授 茂木貞純 先生
1. はじめに
皆さんは今朝、朝ごはんを食べましたか?
ごはんを食べた人もパンを食べた人もいるでしょう。
今の私たちはいろいろな国のさまざまなおいしいものを食べられます。しかし、昔は今のように大きな船や飛行機などもありませんでしたので、外国のものを買ったり、売ったりということもありませんでした。だから日本の中でとれたものを食べるしかなかったのです。これを「自給自足(じきゅうじそく)」といいます。
現代ではお父さんやお母さんが働きに行くとお金をもらってきますし、税金もお金で払います。しかし江戸時代の武士の給料や、お百姓(ひゃくしょう)さんが払う税金はお米でした。食べ物の中で一番中心になるものはお米だったからです。
お給料や税金がお米で支払われるようになったのは、どれくらい昔からのことだったのでしょうか。記録によると、およそ1300年前からということがわかっています。お米は食べておいしいし、長い間保存が出来ます。炊(た)いてご飯にしてしまうとすぐにくさってしまいますが、田んぼから収穫(しゅうかく)したままにしておけば保存がききます。収穫した1年後でも、炊けばおいしいご飯ができるので、本当に便利な作物なのです。
では、お米はいつごろから作られはじめたのでしょうか。