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講師:國學院大學教授 茂木貞純 先生
2. お米はいつから作られた?
最近の研究では、2500年ぐらい前から日本で稲がつくられるようになったのではないか、ということがわかってきています。はじめ九州に伝わった米作りは、あっというまに青森県の北のはずれまで広がっていったようです。さらに考古学が進歩すれば、もっと前から作られていた可能性も出てくるかもしれません。
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それでは、こうした知識のなかった昔の人は、お米をどういうふうに考えていたのでしょうか。神さまからの「さずかり物」と考えていたのです。
神様の話がたくさん出てくる「神話」、遠い昔からの古い言い伝えに、お米は一体どこから来たのかについての話があります。
その神話では、「ずっと遠い昔、天の上には神様の世界があり、そこに住む神様の子どもがこの国へ降(くだ)ってきた」と伝えられています。その子どもの名前はホノニニギノミコト。「ホ」というのは稲穂(いなほ)の「穂(ほ)」、「ニニギ」と言うのは「にぎやか」、つまり稲穂がたくさん実る神さまということです。そのニニギノミコトのおばあさんにあたる神さまは天照大神(あまてらすおおみかみ)という太陽の神様でした。天照大神は、ニニギノミコトが地上に降(くだ)るとき稲穂をあたえ、「これでみんなのお米を作りなさい」と教えてくれたのだそうです。
そうして「お米というものは天照大神からいただいたものなのだ」と、昔の人はみんなそう考えながらお米を作りつづけてきたのです。
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